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強制執行阻止! 第3滑走路粉砕
 10・3全国総決起集会に結集しよう







 市東さんの農地の強制執行をめぐる請求異議裁判は六月八日、最高裁が上告棄却を決定した。農民の耕作地を、農地法を「根拠」に取り上げ、かつ、その強制執行を認めるという極反動判決だ。満腔の怒りをもって弾劾する。
 三里塚芝山連合空港反対同盟は、強制執行実力阻止態勢を堅持する中で、「第四回天神峰樫の木まつり」を七月一一日に開催した。市東孝雄さんは、次のように決意を表明した。
 「確かに裁判では負けたが、裁判だけが闘いではない。この地でいかに権力に対して力を発揮できるかだ。全国の皆さんと連帯して闘っていく。身体の続くかぎり天神峰で畑を耕していく。福島、沖縄、三里塚を一つの闘いとして共に闘う」。
 行政権力も司法権力も、国策独占企業=成田空港会社と結託している。この国家権力の暴挙に対して、市東さんは畑を耕し続ける農民の正義をもって対峙している。市東さんの確信は、農民としての確信であり、全国の闘う人々との共闘の中でつかみとった確信だ。三里塚闘争の勝利の確信であると同時に、コロナ禍で不屈に闘うすべての人々が共有すべき確信である。
 今秋期、農地強奪攻撃を打ち破る天神峰の強制執行実力阻止態勢をさらに強化して、市東さんの農地を守り抜こう。10・3三里塚全国総決起集会に結集しよう。


●1章 市東さんの農地の強制執行を許さない

▼政府―空港会社と結託する司法権力

 市東孝雄さんの農地を奪うことは、現在の成田空港の機能には具体的に何の意味もない。市東さんの農地と農作業施設を奪っても、滑走路や誘導路が新たにできるわけではない。
 農民として農業を続けることをもって国策と対決する三里塚闘争そのものを圧殺することこそが、その目的だと言わざるをえない。
 市東さんの農地を強奪しようとする攻撃はすでに三〇年以上に及ぶ執拗で狡猾な攻撃である。旧空港公団(=現成田空港会社)は一九八八年、市東孝雄さんの父親東市さんが耕作してきた農地を、東市さんには秘匿したまま地主から買収した。しかし、空港公団は一五年間移転登記も行なわずに、その事実を隠し続けた。二〇〇三年になって移転登記を行い、〇四年に成田空港会社が設立された後の〇六年に小作契約解約の手続きを開始した。
 実際に耕作する農民の権利を防衛することが本旨である農地法は、農地転用を簡単に認めてはいない。成田市農業委員会、千葉県農業会議、最終的には千葉県知事の許可が必要であった。しかし、市東さんの耕作地の解約、空港用地への転用という農地法とは真逆の攻撃が、最終的には堂本知事(当時)の判断で決定されたのだった。空港会社に結託して農民の権利を踏みにじった行政権力を許してはならない。
 空港会社はこの決定に基づいて市東孝雄さんに解約申し入れを行い、これに応じない市東さんを「被告」として〇八年、明け渡しの提訴を行なった。この農地法裁判で、千葉地裁裁判長・多見谷は一三年に土地明け渡しを命ずる判決を下した。一五年の高裁判決、一六年の最高裁判決も、市東さんに明け渡しを命ずる判決を出した。
 空港会社はこの最高裁判決に基づいて手続きに入り、市東さんが明け渡しに応じなければ強制執行に着手しようとした。しかし、明け渡し判決と強制執行とは同義ではない。明け渡しに応じないからと言って、市東さんの生活の糧である農地と農作業場の一切を暴力的に奪い去る強制執行が許されるものではない。この強制執行攻撃に対して市東さん側から起こした裁判が請求異議裁判であった。
 請求異議裁判は、農地法に基づいて農地を強奪して空港用地に転用することの理不尽と同時に、市東孝雄さんの生活の糧である農地を暴力的に奪うことが過酷執行であることを訴え、争ってきた。
 なによりも、旧空港公団も現空港会社も、シンポジウム―円卓会議の過程で、さらには大木よねさんへの補償の協議において、三里塚農民に対して「強制的手段を用いない」ことを約束してきた。これは土地収用法や公共用地特措法に基づく強制収用だけのことではない。法廷で小泉英政氏が証言したように、農民の農地を暴力的に奪わないという約束であった。
 請求異議裁判は一九年一二月二〇日に一審千葉地裁裁判長・高瀬が、空港会社の強制執行を認める不当判決を出した。しかし、市東孝雄さんは即日控訴し、控訴審判決までの執行停止が認められた。
 二〇年一二月一七日、東京高裁裁判長・菅野の控訴審判決は、一審判決に続いて空港会社の強制執行を認める極反動判決を出した。一審判決以上に、空港会社の立場に立った判決だ。文書として残されていないことを理由にして、「強制的手段を用いない」とした空港会社社長の約束を認めず、空港会社が社会的責任、政治的責任をとる必要はないとしたのだ。
 司法権力がこれほどまでに空港会社に寄り添って、必要以上の代弁をする判決があるだろうか。
 しかも菅野は、仮執行宣言をつけたのだ。上告手続きにおいて、最高裁判決までの執行停止を申請したことに対しても、菅野は自らの判決で「仮に執行することができる」とした以上、これと矛盾する決定はしないという理由で、認めようとはしなかった。
 千葉地裁への申し入れによって執行停止の暫定決定がされたが、これは三月三一日までという限定的な停止決定であった。
 四月一日からは、法的には空港会社がいつでも強制執行をできる状況に突入した。反対同盟と現地支援連は、強制執行実力阻止態勢をとり、市東さんとともに、強制執行に対して断固闘い抜くことを確認した。
 この対峙状況の中で、六月八日、最高裁は上告棄却決定を出した。
 最高裁の決定通知は、主文と理由が一頁一三行の本当に紙一枚であり、上告を棄却し、上告審として受理しない、ことを通知しているだけだ。上告理由書を精査したのか否かさえ不明の「事務連絡」である。市東さんが農民としての生活の根拠である農地について訴えてきた内容の全てを、一枚の紙で否定した。国策会社の横暴を肯定する、司法権力の暴挙だ。
 政府―国土交通省、成田空港会社が一体となって強行し続ける農地強奪攻撃に対して、地裁から最高裁まで司法権力は、ただただ「国策」だからという政治判断で、政府の側に立ち、一人の農民の生活を破壊することに全面的に荷担してきた。裁判官は、原告―市東孝雄さんの訴えに真摯に耳を傾けて、その権限において現地調査を行って真実を見極めることができたはずである。しかし、地裁から最高裁まで
 裁判官の誰一人として三里塚現地に赴き、空港建設の暴虐と農地強奪―農業破壊、生活破壊、環境破壊の事実を見ようとはしなかった。

▼強制執行実力阻止態勢を軸にした現地攻防

 成田空港建設において土地収用法や公共用地特措法による強制収用は、一九八九年の段階で法的にできなくなっている。それは、すでに成田空港建設が「緊急性」を根拠にした強制収用のできる「公共事業」の期限を超えてしまったということだ。われわれは強制収用そのものを決して認めないが、例外的に私権を制限するような土地収用法の体系であってもできないことが、どうして農地法を根拠法として「強制執行」できるのであろうか。これは別に、公団総裁や会社社長の約束云々というレベルの問題ではない。農民が農地を耕作して作物を生産するという人間にとって最も基本的な生産活動を破壊し、だまし討ち的な買収によって得た私的所有を「根拠」に農地を奪うことができるのだろうか。
 反対同盟は、この理不尽な農地強奪攻撃、そして成田空港会社が強行しようとしている空港機能強化に反対して、成田市、芝山町をはじめとした周辺地域への一斉行動を毎月取り組んできた。八月二二日は九八回目の一斉行動だった。
 空港会社の強制執行が迫るなか日々天神峰で営農を続ける市東さんに対する共感は、地域住民の中に広がっている。コロナ禍で激減する航空需要の状況を省みることなく、既定方針だからと深夜早朝の航空機離着陸時間制限の短縮を強行し、第3滑走路建設に無理矢理着手しようとする成田空港会社に対する住民の怒りは深まっている。
 政府と空港会社は、七八年の開港強行以来既成事実を積み重ね、補助金をばらまき、航空機の騒音、排ガス、落下物などの空港周辺への被害を放置し拡大してきた。深夜早朝の離着陸時間制限は、周辺住民が人間として健康な生活をする最低限のものだった。この限界を超えて航空機騒音時間が拡張されれば、本当に生活、健康が破壊される事態になる。
 いま、芝山町や横芝光町など周辺住民は、限界を超えた空港会社の睡眠破壊に対して、もうこれ以上耐えられないギリギリのところで怒りの声を上げている。
 市東さんの闘い、反対同盟の闘いは、この周辺住民の憤怒と結び付き始めている。

▼誘導路改修を口実にした農地強奪を許すな

 成田空港会社は八月一二日付で、「B誘導路の改修工事実施のお知らせ」なるものを公表した。本年一二月から二二年一〇月までの工期で、B’滑走路に沿ったB誘導路の大規模改修を行うというものだ。通常の数年かかるものだが、コロナ禍で発着回数が減少している状況ならば、B’滑走路の運用を制限して工期を短縮できると報じられている。
 このB誘導路は団結街道、市東さんの農地に沿った位置にあり、空港会社が強制執行攻撃と一体で準備を進めてくるであろうことは推察できることである。誘導路改修工事、空港機能強化を口実にした農地強奪攻撃を絶対に許してはならない。


●2章 コロナ禍の航空不況と第3滑走路計画

▼航空需要の消失


 成田空港会社が七月に発表した運用状況によると、本年上期(一~六月)の旅客数は前年同期比79%減の約一七四万人、国際線では同89%減の約六九万人で、過去最低となった。昨年春からコロナ感染は拡大しており、出入国制限に伴って国際線旅客数は激減したが、その昨年と比較しても本年上期の方がさらに落ち込んでいるのだ。
 一方で、成田空港の本年上期の輸出入額は五期ぶりに増加に転じている。コロナ関連の医薬品、スマートフォンなどの通信機、半導体、カメラなど、小型で高価な品目の輸入が増大しているからだ。
 中国をはじめ世界各国との貿易関係は回復しつつも、コロナ感染拡大が世界規模で一挙に解決するものではない以上、人流は短期間でコロナ以前に戻るわけではない。世界規模の感染拡大の中にあって、ワクチン接種の進行も不均等であり、変異株の発生やその伝播も一様ではない。国際線の需要減退は長く続く。成田空港の国際線の航空需要そのものの消失状況は、空港会社、そして航空運輸業、その関連産業の経営に打撃を与えている。
 成田空港会社の二〇二一年三月期決算は純損益が七一四億五三〇〇万円の赤字となった。〇四年の民営化以来初の赤字だが、二〇年三月期が二四四億二三〇〇万円の黒字だったことと比較しても、その赤字の規模は劇的に大きい。
 成田空港会社が本当に民営化されているのであれば、この状況で経営規模拡大の「第3滑走路」建設は無謀な経営方針というしかない。だいたい、昨年四~七月にはB’滑走路そのものを閉鎖する事態だったのだ。
 しかし成田空港会社は、航空需要激減のただ中の昨年六月、機能強化のための「資本増強」として国から三〇〇億円を調達した。政府丸抱えの国策会社ゆえに、経営実態を無視して、このような手法で第3滑走路建設に着手しようとしているのだ。
 しかし、航空会社の方はそうはいかない。航空機が減便され、仕事がないのだ。航空会社は会社としての延命のために航空運輸以外の業態に経営拡大を図り、また、格安航空会社(LCC)に出資して子会社化してコスト削減を進めている。同時に、昨年以来、全日空、日航の社員が関連会社に出向する事態が続いてきた。
 成田空港会社は、成田に乗り入れる航空会社に対して着陸料や使用料、保安検査分担金などの支払いを猶予し、また空港内テナント事業者に対しても支払い猶予や減免を行ってきた。さらに、空港関連企業とその従業員に対して雇用相談窓口を設ける方策までとっている。
 空港会社が手厚い福祉政策をとっているというのではない。空港会社そのものが赤字経営に陥って国からの「資本調達」を受けていながらも、このような「支援策」をとらなければ、航空会社や関連事業者が経営破綻して、空港の機能そのものが喪失してしまう危機的状況にあるのだ。

▼第3滑走路建設を許すな

 菅政権はオリンピック・パラリンピックの開催強行だけではなく、有観客開催にこだわり続けたが、そこには、昨年の「GoTo」強行と同様に、空港会社をはじめとする旅行関連企業の利害が強く働いていただろう。
 そもそも成田空港会社はオリンピックでの需要増大を「根拠」にして成田空港の機能強化をなそうとしてきた。もちろん、第3滑走路建設計画は、「二〇二〇東京五輪」に間に合うものではなかったのだが、空港会社は東京五輪を契機にして航空需要が飛躍的に増大することを見込み、第3滑走路の必要を主張してきた。
 具体的問題としては、深夜・早朝離着陸の時間制限の短縮に関しては、「二〇二〇東京五輪」を理由に一九年の冬ダイヤから強行したのだ。
 しかし、コロナ感染拡大によって国際線の航空需要はほとんど無くなる状況になり、オリ・パラも延期された。深夜・早朝便どころか、二本の滑走路を運用する状況ではなくなり、二〇年四月一二日から七月二二日までB’滑走路は閉鎖された。
 コロナ禍の深刻化の中で、労働者人民は自らの生命、生活を守るために、その生活様式を大きく変更しなければならなくなっている。この状況の中で、空港会社、航空会社、旅行業者が一体となって押し上げてきた「航空需要」というものが、生活に必須の需要ではないことが鮮明になってしまった。成田空港会社はこれまで「需要を掘り起こす」云々と言ってきたが、コロナ感染拡大に直面した状況では、その多くが不要不急の需要であったことを誰もが感じ取っている。
 国際的な人の移動が制限された中で、経済、政治などさまざまな活動、そのための国際会議も多くがリモートで行なわれ、その手段、技術も短期間に広まり、一般化した。観光旅行も制限され、また自粛され、その需要は急激に落ち込んだ。コロナの感染拡大、さらには重症化のリスクを考えるならば、緊急ではない移動を取り止めることが一般化してきた。
 仮に、数年を経てワクチンをはじめとした今後の医療技術の進歩によって新型コロナウイルスがインフルエンザ程度のリスクになったとしても、この航空機による移動を、コロナ以前のようには選択しなくなるだろう。不要不急の航空機移動を選択しないという考え方が生まれているのだ。
 同時に、地球温暖化阻止の観点から、同じ距離の移動において鉄道や船舶と比較して温室効果ガス排出が多い航空機移動を「飛び恥」として批判する考え方が生まれ、拡大している。移動手段の選択から航空機を排除する考え方は一層促進されていくだろう。
 不要不急の「航空需要」、地球温暖化を促進する「航空需要」そのものが、時代遅れになっていこうとしている。この「航空需要」をわざわざ「掘り起こす」と主張する成田空港会社の経営方針こそが時代錯誤なのである。「航空需要」を根拠にした第3滑走路建設、空港の二四時間化は、労働者人民の生活と相容れないものである。


●3章 「地域振興」利権と政治弾圧

▼芝山町長選と空港利権

 深夜早朝離着陸時間の制限短縮によって睡眠破壊―生活破壊を直接被り、さらに第3滑走路建設計画で新たな立ち退きや騒音地域の拡大という被害に直面している芝山町においては、本年一二月六日の任期満了に伴う町長選挙が地域政治の焦点となっている。
 成田空港の機能強化策を積極的に進めてきた現町長・相川勝重が立候補しないことを決め、自らの後継として麻生孝之を推薦している。これに対して「空港と被害地域の真の共存共栄を目指す集い」代表として石井新二が出馬表明。ほかに、町議の堀越保夫が出馬を表明している。
 芝山町民が苦しんでいる成田空港機能強化策が町長選の争点にならないことが問題だ。かつて空港反対運動に関わっていた相川、石井新二がどんな立場で芝山町長選に関わっているのか。第3滑走路建設という芝山町そのものを破壊するような攻撃に対して、これを全面的に受け入れた相川は、空港用地買収の急先鋒として動き回ってきた。
 石井新二は、この相川町政を根本的に批判しているのではない。「空港機能強化は大賛成だ」とした上で、見返りが不十分だとして「空港会社に働きかけて『共生協力金制度』を新設して、騒音下の住民に補償金を支給する」と主張する。深夜早朝の騒音時間延長や第3滑走路建設を全面的に受け入れて、その見返りの補償金を空港会社に要求すると言っているだけだ。空港との「共生」とはそもそも「金」の問題だと主張しているのだ。
 第3滑走路をはじめとする空港機能強化こそ新たな利権獲得の好機だと捉えて、町長選挙がこの利権の主導権争いだと履き違えているのだ。このような輩が空港会社と結び付いて、住民の生活破壊を促進することを許してはならない。

▼第3滑走路建設と二四時間化を主張する者たち

 彼らは利権の主導権をめぐって争っており、かつて反対同盟員だった矜持は微塵もなく、成田空港会社の利害に結び付いて立ち回ってきている。
 この利権屋と化した人々の主張内容は、石毛博道が主導する「成田第3滑走路実現を目指す有志の会」(以下「有志の会」)の主張に鮮明だ。有志の会は最初のパンフレットで「増え続ける首都圏の航空需要」を根拠に「国は喉から手が出るほど『第3滑走路』を欲しがっています」と見定めて、地域住民が「自ら声を上げない限り、このチャンスはつかめません」と主張する。
 住民として新たな滑走路建設に反対するのではなく、「納得づくで物事を解決していく」ための「チャンス」だと主張しているのだ。彼らの成田空港反対闘争の総括は、最初からはっきり利権を確保するために動くべきだった、というものでしかない。
 「有志の会」は第3滑走路の利権確保を主張してきただけではない。離着陸禁止時間(カーフュー)の短縮、さらに成田空港の二四時間化も主張しているのだ。その「根拠」は、成田空港開港当初に比べて「低騒音型機が増え、騒音対策が充実」してきているからだという。さらには、二四時間化しても、深夜早朝の「旅客便はほとんどありません」「貨物便が到着する程度」と勝手に決めつけた上で、「成田も二四時間空港にして、騒音対策を充実させたほうが良いという意見があります」と、空港会社の空港機能強化策の代弁をしてきたのである。
 空港会社が空港機能強化策を持ち出してから、成田市、芝山町、横芝光町で多くの住民が現在以上の生活破壊は耐えられないがゆえに、反対の声をあげている。この悲痛な叫びを圧殺しようとする反動的な力に、「有志の会」こそが荷担しているのだ。

▼芝山町の反対同盟集会妨害

 成田空港の機能強化策についてのデタラメな論議と利権確保で動いてきた芝山町長相川は、反対同盟の集会開催を妨害する弾圧に出てきた。
 反対同盟は本年三月、第3滑走路建設と深夜早朝の航空機騒音に反対する集会を開催しようとした。しかし、芝山町は、反対同盟の集会には芝山文化センターを貸し出さないと決定して、集会そのものを封殺しようとした。反対同盟は天神峰で集会を開催し、芝山町に移動してデモを行うという形で闘ったが、この集会禁圧を絶対に許してはならない。
 芝山町役場は、反対同盟の追及に対して四月二〇日の弁明書で、一九八四年の「芝山町議会乱入」と二〇一七年の「町議会偽名傍聴」を「根拠」にして、「施設の破損」「不特定多数の入場」「ルールの不徹底」の恐れを理由にしている。
 しかし、反対同盟の町議会乱入といっても、そのとき「町議会」で騒いだのは当時の熱田派の相川勝重と石毛博道、石井新二であった。現在の反対同盟にその非を問うのは本末転倒である。また、「偽名傍聴」と現在のコロナ禍での「ルール」とは無関係な問題だ。集会場貸し出し拒否の理由にはならない。
 この集会場貸出拒否弾圧の最終的な責任は町長相川にある。空港利権の独占に奔走する者たちは、芝山町民の中に成田空港機能強化に反対の意見があることを知っている。新たに反対の声を上げ始めた人々が反対同盟と結びつくことを何よりも恐れている。徹底非妥協で実力闘争を貫いてきた反対同盟、天神峰の地で畑を耕し続ける市東さんの不屈な生き方を、利権にまみれた者たちが恐れているのだ。
 この弾圧は、反対同盟の基本的人権、集会・結社の自由を踏みにじるものである。絶対に看過してはならない。地方自治体の行政権力を私的利害のために用いて弾圧する。政府と同じ手法だ。この弾圧を必ずや打ち破って、芝山町民―周辺住民の怒りと結び付いて闘おう。


●4章 侵略反革命の拠点―三里塚空港粉砕

 菅義偉は九月三日、自民党総裁選への辞退を発表した。首相就任以来強権政治を続け、政争、政略を続けてきた菅が自らの失政で追い詰められて、政権を投げ出したのだ。
 あらゆる世論調査において過半数が反対していたオリンピック・パラリンピックを強行し、コロナ感染拡大第五波を招いた。それだけではない。安倍政権、菅政権を通して、昨年からのコロナ感染拡大の一年半に、コロナ対応の医療体制拡充を行わなかったがゆえに、第五波では、中等症、重症の患者が激増し、「自宅療養」という入院できない事態を生み出した。人民が日々感染におびえ、入院先が決まらなければ生命の危機に直面するという事態である。これは、安倍・菅政権の失政である。
 「緊急事態宣言」を発出しておいてオリンピック開催に踏み切るという菅の政治判断に、労働者人民は皆怒った。菅政権の一つひとつの政策の根拠が、政権の利害、自民党の利害であることが、だれの目にも明らかだからだ。
 労働者人民が今直面している事態は、生命と生活の危機である。だれもがコロナ感染―重症化、緊急事態宣言の下での失業―生活破壊という危機にさらされているのだ。労働者人民にとって、このコロナ禍こそ、長期にわたる災害であり、生命が危険にさらされるという意味で「有事」である。自公政権は、「有事」を理由にして改憲を主張し、日米ガイドラインの改定、戦争法の制定を強行してきた。しかし、今人民は、生命の危機という「有事」に直面している。
 本来ならば、国内の資金、資源を動員して医療体制を整えて、コロナウイルス感染症に立ち向かうべきであろう。
 「緊急事態宣言」発出で人民の生活を統制することが感染症対策だと履き違えている安倍、菅の無策、失政の体たらくは何だろうか。本当の「有事」に真剣に立ち向かい、人民の生命と生活と権利を守る政治を執行することができない。このような政治家が政権に就いてはならない。
 菅が政権を放り出したからといって、自公政権の政治が終ったわけではない。新ガイドラインと戦争法に基づいて、あるいは菅・バイデンの日米首脳共同声明に基づいて、日帝の戦争準備は進められようとしている。本年の防衛白書は、中国批判、台湾問題に紙数を割き、対中国シフトの軍備増強を進める意図を明示している。政府は、今秋九~一一月に陸上自衛隊大演習を強行しようとしている。
 全国の自衛隊基地、駐屯地ではコロナ感染のクラスター発生が続出している。自衛官も生命の危機に直面している。このような危機的状況で、陸自一四万人を全国規模で大移動させ、琉球孤を中心にした大演習を行うというのだ。沖縄人民、九州の住民に対しても、さらには自衛官に対しても、コロナ禍でその生命を危険にさらすような危険な演習を行わせてはならない。日米帝の「インド太平洋戦略」に基づいて人民の生命を翻弄するような政策は、断固阻止なくてはならない
 この軍事演習だけではない。安倍・菅政権が強行してきた利権政治、権力抗争、強権政治は、労働者人民の利害に真っ向から対立するものだった。沖縄人民の反対を押し潰して強行してきた辺野古新基地建設、老朽原発再稼働、労働法制改悪をはじめとする労働運動への統制、弾圧。人民の意思や意見を顧みることのない反動政治だ。安倍・菅の自壊は、コロナ対策の失敗だけではない。この反動的強権政治の一つひとつに対する人民の怒りを見ようとしなかったからだ。
 三里塚において今発動されようとしている攻撃も、この安倍・菅政権の強権政治の一環である。国策空港会社の農地強奪攻撃、第3滑走路建設強行を絶対に阻止しよう。安倍・菅政権への憤怒、この強権政治を根底から覆すために闘おう。市東さんが訴えるように、沖縄、福島をはじめとして、強権政治と実力で対決する人々が結び付いて立ち上がることが、今こそ問われている。
 今秋期の攻防をともに闘おう。10・3成田市栗山公園に全国から結集しよう。
















 


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